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HUNTER×HUNTERグリードアイランド編の感想|レイザー戦の信頼とゴンの危うさ

HUNTER×HUNTERグリードアイランド編の感想|レイザー戦の信頼とゴンの危うさ

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HUNTER×HUNTER 13巻

対象: 13〜18巻

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キルアが支えたボールを、ゴンが全力で打つ。グリードアイランド編のドッジボールは、この単純な動きが忘れにくい試合です。

誰かに任せていい部分があるから、自分の力を出し切れる。ただし、支えるキルアの手にも傷が残る。気持ちのいい連携を描きながら、ゴンの全力に付き合う負担まで見せています。

その後のゲンスルー戦では、ゴン自身が身体を損なう選択をする。修行の成果を試す楽しさと、勝ち方への執着が隣り合っているのが、この章の読み応えです。

この記事では、ゲームに挑む準備を含む単行本13巻から18巻までを扱います。クリア後の行き先まで触れるので、未読ならネタバレにご注意ください。

ジンのゲームを、自分で遊んで確かめたい

ゴンがグリードアイランドを知る手がかりは、くじら島で受け取ったジンの残した品にあります。ヨークシンのオークションで初めて存在を知ったわけではなく、すでに父へつながるものとして探していました。

ゲームに関心を持つ大人たちには、高額の報酬や特別なアイテムという目的があります。ゴンは、父の作ったものを実際に遊びたい。父親を探す旅の途中で、父親が用意した仕組みを体験することになります。

ここで面白いのは、始めればすぐジンから答えがもらえるわけではないところです。目の前にあるのは町や怪物やカードで、まずゴン自身がプレイヤーとして行動しなければなりません。父の思いを聞く前に、父の作った遊び方に触れる。親子の距離が、説明の台詞ではなくゲームの手触りで描かれます。

最初に押さえたいカードの仕組み

グリードアイランドのルールは細かいものの、読み始めから全部覚える必要はありません。中心にあるのは、指定された100種類のカードをそろえるという目標です。

  • 指定ポケットは100枠。対応する番号のカードを収めます。
  • フリーポケットは45枠。指定カードの予備やスペルカードなどを持つための枠で、「別の45種類も集めればクリア」という意味ではありません。
  • 「ブック」でカードを収める本を呼び出し、「ゲイン」でカードを元のアイテムに戻します。

カードには、移動、相手の情報の確認、奪取や防御など、いろいろな働きがあります。殴り合いに強くても、持ち物を守る仕組みを知らなければ奪われる。ルールを覚えることが、実際に損をしないための知恵になります。

また、ゲームの舞台は実在する島で、プレイヤーは身体ごと参加しています。ここで死ねば現実でも死ぬ。仮想の分身が倒れたら再挑戦、という遊びではありません。

明るい冒険の景色と、他人のカードを狙う殺人が同じ場所にあるのは、そのためです。集め方や使い方は遊びらしくても、プレイヤーの欲や暴力までゲームの安全な枠に収まってはくれません。

ビスケの修行で、できることが少しずつ増える

ビスケット=クルーガー、通称ビスケは、少女のような姿で現れる熟練のハンターです。ゴンとキルアの未熟さを見抜き、二人の修行を見ることになります。

指導の中心にあるのは、オーラを出す量や配分、身体の使い方を鍛え直すことです。纏や練を知っていても、必要な場面で正確に続けられるとは限らない。念の言葉を覚える段階から、実戦で使える精度へ進んでいきます。

この修行は、冒険を中断して別の場所へ籠もるだけのものではありません。島の怪物や移動中の課題が、そのまま練習の材料になります。最初は苦労した相手に対応できるようになり、行動できる範囲も広がる。上達がゲーム内の景色の変化として見えるのが楽しい。

ゴンの拳に力を込める戦い方にも、キルアの電気を使う発想にも、それぞれの性格や育ちが出ています。同じ基礎を習っているのに、二人の技が同じ形にならない。その違いがあるから、後の連携も単なる戦力の足し算にはなりません。

ビスケの大人としての余裕も、この章の空気を支えています。二人が苦戦しているところで指導できる人が近くにいると分かるだけで、読者は成長を楽しみやすい。それでも、最終的に自分で戦う必要がある場面までは引き受けてくれません。

レイザー戦は、ボールを持つ手にも注目したい

指定カード「一坪の海岸線」を手に入れるためのイベントで、ゴンたちはレイザーとのドッジボールに挑みます。協力する顔ぶれにはヒソカまでいる。以前は一撃を入れるために必死だった相手と、今度は同じ側で試合をすることになります。

相手を吹き飛ばすほどの球威がある一方で、試合にはドッジボールのルールがあります。誰を当てるか、どう受けるか、残った人数でどう動くか。攻撃力だけでなく、位置や役割を考える必要があるので、大勢いることに意味が生まれます。

特に残るのが、ゴンの攻撃をキルアが支える場面です。ボールを持つ役は一見地味ですが、全力の打撃に付き合う手には大きな負担がかかる。ゴンの力だけを画面の中心として見ていると、見落としかねない痛みです。

ゴンにとってはキルアだからこそ任せられる。キルアもその期待に応えようとする。二人の信頼が強さになる一方で、その関係だからこそ無理が通ってしまうようにも見えます。爽快な連携の中に、少し気になるものが混じっています。

レイザーの強打を受け止める局面でも、最後に返球する局面でも、一人では完結しません。ヒソカの「伸縮自在の愛(バンジーガム)」も勝利に欠かせない。敵として厄介だった性質が、味方になればどんな仕事をするのか。能力を別の角度から味わえる試合です。

ゲンスルー戦で、作戦からはみ出すゴン

爆弾魔ゲンスルーの能力には、条件を満たして相手に時限爆弾を仕掛ける「命の音(カウントダウン)」と、手でつかんだものを爆破する「一握りの火薬(リトルフラワー)」があります。ゴンとの直接対決で特に問題になるのは、後者への防御です。

爆発に耐えるためには、つかまれた場所へ十分なオーラを回さなければなりません。手元を守れば他が薄くなる。ビスケとの修行で学んだ配分が、失敗すれば身体を壊される条件で試されます。

ゴンたちは格上の相手に勝つための作戦を用意しています。それでもゴンは、決めた手順へすぐ移らず、自分の攻撃を相手に通すことにこだわります。相手の強さを理解していないからではなく、それでも納得のいく一撃を入れたい。

その結果、腕に深刻な損傷を負いながら戦うことになります。追い詰められた末の覚悟として読めると同時に、避けられたはずの傷へ踏み込んでいるとも読める。頼もしくなった、だけでは収まらない場面です。

最後には、準備していた罠とカードの利用が勝ちにつながります。だからこそ、計画の有効さと、そこから外れようとするゴンの性質が両方残る。ゲームのルールを利用して勝つ賢さと、自分の気持ちを抑えられない危うさが、一つの戦いに入っています。

クリアしても、父親にはまだ会えない

ゲームをクリアしたゴンは、持ち出したカードを利用し、キルアとともに「同行(アカンパニー)」で移動します。その先にいたのは、ジンではなくカイトでした。

父に会うという目的だけを見れば、まだ途中です。ただ、島へ入ったときのゴンと出てきたゴンでは、できることも、共に過ごした人も違う。ゲームを飛ばして答えだけをもらっていたら、得られなかったものが残っています。

レイザー戦の連携や、ビスケとの修行を楽しみたい人には、まとまりのよい冒険として読める章です。その一方で、ゲンスルー戦まで読むと、成長したゴンがその力をどう使うかは別の問題だと感じます。強くなれば無茶が減るとは限らない。その引っかかりを残したまま、カイトとの再会へ進む終わり方です。

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