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HUNTER×HUNTER天空闘技場編の感想|ヒソカを殴れたゴンが、まだ勝てない理由

HUNTER×HUNTER天空闘技場編の感想|ヒソカを殴れたゴンが、まだ勝てない理由

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HUNTER×HUNTER 5巻

対象: 5〜7巻

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ゴンがヒソカの顔面に一撃を入れる。天空闘技場編では、その瞬間に大きな達成感があります。けれど、試合の結果はゴンの負けです。

一発届いたことと、相手に勝てることは別なのだと、ここではっきり分かります。ハンター試験で感じた悔しさに区切りをつけつつ、実力の差は十分に残る。その決着が、修行編の終わり方として気持ちいい。

単行本では5巻終盤から7巻にかけての物語です。6巻から念の修行が本格化し、7巻でヒソカとの対戦へ進みます。以下、念の基礎やヒソカとの試合結果を含むネタバレがあります。

お金を稼ぎに来た先で、通路さえ進めなくなる

ゴンとキルアが天空闘技場を訪れるのは、修行をしながら旅の資金を稼ぐためです。普通の選手が相手なら、二人はすいすい勝ち上がっていく。ハンター試験を終えた実力が、外の世界でも通用しているように見えます。

ところが、200階に着くとヒソカのオーラに行く手を阻まれる。試合を始める以前に、廊下を歩くことさえできません。それまで積み上げてきた勝利が、急に別の競技での成績だったように感じられる場面です。

闘技場の報酬も、この階を境に変わります。賞金を得られるのは199階まで。200階クラスでは金銭的な報酬がなくなり、名誉を懸けて戦います。出場者全員がフロアマスターというわけでもなく、まず10勝を挙げて、その座への挑戦権を得る仕組みです。

下の階では、勝てばお金が手に入る分かりやすい場所だった。それが上では、念を知らずに入ると身体に深い傷を負う危険のある場所になる。建物は同じでも、二人の立っている条件が変わっています。

ウイングは、技の前に身を守る方法を教える

二人が頼るのは、心源流拳法の師範代ウイングです。弟子のズシとの出会いを通じて、力だけでは説明できない現象の存在を知ります。

ウイングは最初から念のすべてを教えたわけではありません。けれど200階で危険に直面した二人に対し、本当の念の指導へ進む。教える側が知識の危険性を測っている点も、この修行には欠かせません。

念の入口として押さえたいのは、四大行と呼ばれる基本です。

  • 纏(テン):体の周囲にオーラをとどめ、身を守る。
  • 絶(ゼツ):オーラの流れを閉じ、気配を消す。念の攻撃を受ける際は無防備になる。
  • 練(レン):通常より多くのオーラを練り出す。
  • 発(ハツ):オーラを自分の性質に合わせて使い、能力として発揮する。

名前だけを並べると、覚えることが多く見えます。しかし、まず必要なのは纏で身体を守ること。強い技を出せるかより先に、相手のオーラにさらされても立っていられるかが問題になります。

ゴンは念を覚えたあとも、ウイングの言いつけを破って試合に出て、負傷します。知識を手に入れた途端に安全になるわけではない。習ったばかりの方法を試したくなる気持ちと、その未熟さに伴う危険が地続きです。

ここでのゴンは、説明を理解できない生徒というより、理解したうえで自分で確かめずにはいられない生徒に見えます。ウイングが叱り、一定期間の念の使用を禁じる場面にも、単に次の修行へ進ませない以上の意味があります。

ズシがいるから、二人の速さが分かる

ゴンとキルアの習得は速い。ただ、二人ばかりを見ていると、それが普通の上達に思えてきます。

そこで効いてくるのがズシの存在です。先にウイングから学び、地道に稽古を続けてきた彼を、あとから来た二人が驚かせる。ズシも有望な弟子なのに、同じ時間で進める距離には差がある。その描き方は、修行をしたぶん必ず誰でも同じように強くなる、という話より少し厳しい。

それでもズシがいることで、基礎を一つずつ積む姿も画面から消えません。二人の才能を大きく見せるためだけに、ズシの努力が無意味になるわけではない。この三人の距離感があるから、ウイングの教室は能力説明の場所だけにとどまらずに済んでいます。

ゴンとキルアも、念の基礎を知ったことで、それまで身体能力や勘で処理していたものを言葉で考えられるようになる。上達の手応えは、急に派手な必殺技が増えることより、昨日は見えなかったものが見えることにあります。

カストロ戦で問われるのは、何が起きたかを見抜けるか

ヒソカとカストロの試合では、見た目に起きていることを、そのまま信じてよいのかが問題になります。

カストロの「分身(ダブル)」は、攻撃の意表を突く強力な能力です。それでもヒソカは仕組みを見抜き、相手の判断を崩していく。精巧な能力を用意したことが、そのまま勝利の保証にはなりません。

強化系のカストロが、不得手な具現化系と操作系を使う分身に力を注いでいたことも敗因として描かれます。念には強化、放出、変化、操作、具現化、特質という系統があり、習得しやすさが違う。ここで系統の説明が、単なる性格診断のような分類から、鍛え方を誤ると命に関わる話へ変わります。

ヒソカの能力も、基本的な性質を聞けばゴムとガムという身近なものです。それが厄介なのは、何に付いているのか、いつ使ったのかを相手に把握させないから。能力の説明を読んだあとでも、次の使い方までは分からない。

目にオーラを集中させる「凝」で、隠されたオーラを見抜くことが大切になるのも、このためです。知らない攻撃に耐えるだけでなく、見えていない仕掛けを探す必要がある。読者もゴンたちと同じように、コマの中のどこを疑うべきか学んでいきます。

ナンバープレートを返すための一撃

ゴンの目標には、ハンター試験でヒソカから受け取ったナンバープレートを返すことがあります。助けられたままの関係を、自分の力で少しでも変えたい。そのために、まず一発殴る必要がありました。

実際の試合では、ゴンは闘技場の床も利用して、ヒソカの視界と注意を崩します。真正面から同じ攻撃を繰り返しても届かない相手に、足元の環境と自分の動きを組み合わせて迫る。念を習ったからといって、ゴンのもともとの工夫が消えていないのがうれしい場面です。

そして一撃を当て、プレートを返す。試験から続いていた借りに、自分で区切りをつけます。ここは勝敗表には載らない、ゴン個人にとっての決着です。

そのあとも試合は続き、ゴンはヒソカに敗れます。狙いを一度通せても、相手の攻撃を読み切り、試合全体を支配できる段階には達していない。目標を果たした喜びが、敗北によって取り消されることもありません。

念の仕組みを知りたいなら、天空闘技場編はもちろん出発点になります。それに加えて、どれだけ上達したかを「まだできないこと」と一緒に見せる修行の話としても読み応えがあります。ゴンがヒソカに追いつくには長い道のりがある。その距離を具体的に感じられるようになったこと自体が、この章で得た成長なのだと思います。

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