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SLAM DUNK豊玉戦のネタバレ考察|南烈が最後に取り戻したシュート

SLAM DUNK豊玉戦のネタバレ考察|南烈が最後に取り戻したシュート

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豊玉戦の終盤、南烈は3ポイントを続けて決めます。流川楓の左目を肘打ちで負傷させた選手が、最後には自分のシュートで湘北を追う。豊玉をラフプレーの多い敵としてだけ見ていると、この追い上げの意味を取りこぼしてしまいます。

結果は湘北の91対87。全国大会初出場の湘北が初戦を突破し、豊玉は敗退します。ただ、豊玉が崩れたまま終わる試合ではありません。勝つために相手を傷つけた南が、もう一度バスケで勝とうとするまでが描かれます。

この記事は原作の豊玉戦を、決着までネタバレありで扱います。試合は新装再編版15巻に収録。集英社の15巻紹介は全国初戦の豊玉戦、16巻紹介は山王工業との2回戦を迎える内容です。

豊玉の速さに、湘北の怒りが重なる

広島で開かれるインターハイ。大阪代表の豊玉は、速い攻撃を繰り返して得点を重ねるラン&ガンを得意とします。南、岸本実理、板倉大二朗には得点力があり、湘北の失敗を待つだけのチームではありません。

厄介なのは、速い攻撃に挑発や荒い接触が重なることです。桜木は岸本に、宮城リョータは板倉に腹を立てる。相手のペースを止めたいのに、怒るほど自分たちのプレーを整えられなくなります。

この序盤で安西が送り出すのは、控えの安田靖春です。安田は怒号の中でも落ち着いてボールを運び、湘北が攻撃を組み立て直すきっかけを作ります。派手に相手を抜くプレーより、慌てずに始めることが必要な時間です。

安田は、三井たちが体育館へ乗り込んできたときにも、相手を止めようとした選手でした。威圧されても腰が引けない。その性格が、全国大会ではボール運びの安定につながります。(安田の起用と役割)

湘北には赤木のゴール下もあり、相手に合わせて走り続ける以外の攻め方があります。いったん落ち着いたうえで、自分たちの速さを出す。豊玉の勢いに引っ張られる時間から、こちらの判断で戦う時間へ戻すことが、まず必要でした。

流川は負傷しても、シュートを打つ方法を探す

南の肘が流川の左目に当たり、流川は一度コートを離れます。南には前年、翔陽の藤真健司を負傷させた過去があり、エースキラーと呼ばれています。湘北戦でも相手の得点源が傷つくことで、豊玉に有利な状況が生まれます。

後半に戻った流川は、片目では距離感をつかみにくくなっています。いつもの見え方が失われた状況で、それでも得点する方法を探しています。

その姿がよく表れるのが、目を閉じて打つフリースローです。見えている片目だけで無理に合わせるのではなく、練習で身につけた体の感覚に頼る。流川が積み上げてきた技術が、使えるものとして残っている場面です。

桜木は南に怒りますし、赤木も黙ってはいません。流川も引き下がらない。それでも湘北が必要としているのは、相手と喧嘩をすることではなく、残りの時間で点を取り返すことです。負傷後の流川は、その方へプレーを向けていきます。

そんな流川を、南は目の前で見続けています。傷つけてもなお自分に向かってくる相手の姿が、南のシュートを狂わせていきます。

北野を呼び戻したいのに、北野のバスケから離れていく

南と岸本は、前監督の北野に憧れて豊玉へ入りました。走って攻め、点を取る楽しさを教えてもらった選手たちです。その北野が学校側に解任され、後任の金平が来たことが、豊玉の内側に溝を作っています。

北野時代の豊玉は全国ベスト8まで進んでいました。それでも学校側はさらに上の成績を求めます。南たちは北野のやり方で全国ベスト4へ進み、恩師を戻したいと考えるようになります。

その目標は、南にとってただの順位ではないのでしょう。勝てば北野の指導が正しかったと示せるし、学校側の判断を覆せるかもしれない。負けることが、教わってきたバスケまで否定されるように感じられるのだと思います。

しかし南が頼ってしまうのは、相手のエースを傷つけるやり方です。本来は自分にも点を取る力があるのに、それを生かせなくなる。恩師のバスケを守りたいという願いと、目の前でしていることが、離れていきます。

流川への罪悪感から南のシュートは乱れ、岸本は苛立ちます。金平が口を出しても、選手は聞こうとしない。金平も感情を抑えられず、岸本を殴ってしまいます。コート上だけでなくベンチでも、立て直すための言葉が届かない状態です。

金平は就任時、北野の戦い方を否定して選手たちの反発を招いていました。守備を強化する方針だけなら、話し合えることだったはずです。けれども選手たちには、大切な人を追い出した側の言葉に聞こえてしまう。学校が求める結果、金平が変えたい戦術、選手が守りたい思いが、かみ合っていません。

北野との再会が、南をコートへ戻す

終盤、南は再び流川を傷つけかねないプレーへ向かいますが、北野の言葉を思い出して踏みとどまり、自分が負傷します。治療を受ける場面で、会場に来ていた北野と再会します。

北野は今、子どもたちにミニバスを教えています。そこで続けているのも、バスケを楽しむことを大切にした指導です。豊玉を離れても、北野自身の考えは失われていなかった。南はそれを本人から聞きます。(北野の近況と南との再会)

南たちは、勝って恩師の教えを守らなければならないと考えていた。けれども北野は、別の場所ですでに子どもたちへ同じ楽しさを伝えています。自分たちがすべてを背負い、無理に勝ち方を正当化する必要はなかったのだと読めます。

コートへ戻った南は、自分のシュートで点を取ります。豊玉は3ポイントで追い上げ、4点差まで迫る。ここで初めて気持ちの整理がついたからといって、試合の残り時間まで増えてはくれません。湘北には届かず、豊玉の大会は終わります。

金平も最後には選手たちへ声援を送ります。長くこじれていた関係が、すべて解決したとは言えません。それでも、同じ方向を向いて勝利を願う瞬間はある。豊玉の終盤には、敗退するチームを見送るだけでは終わらないものが残ります。

湘北には、練習したシュートが一本増えている

南の変化が大きく描かれる一方、桜木も全国大会で新しく身につけたものを試します。合宿で繰り返したジャンプシュートです。最初から思うように入るわけではありませんが、桜木は試合の中で練習の成果を出します。

これまでの桜木なら、リバウンドを取り、ゴールの近くで得点することが中心でした。少し離れた位置からも打てれば、守る相手が考えることは増えます。自分にはまだ早いと引っ込めてしまえば、その変化は起きない。序盤の失敗を経ても打つ桜木には、反復練習をしてきた裏づけがあります。

流川は負傷した体で、南は罪悪感で崩れた状態から、桜木は初めての全国大会で、それぞれシュートを打ちます。同じ得点でも、そこに至るまでに越えなければならないものが違う。豊玉戦は、その違いが一つのコートに集まる試合です。

湘北が得たのは全国大会での最初の勝利です。そして豊玉は、追いつけなかった最後の時間に、自分たちの得意な攻め方を取り戻します。南が終盤に決めたシュートを最初の肘打ちと見比べると、勝ちたい気持ちをどこへ向けるべきだったのかが、言葉以上にはっきり伝わってきます。

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