本ページはプロモーションを含みます。
原作の対象巻を読む
DEATH NOTE 1巻
犯人は夜神月だと、読者は最初から知っています。それでもLと月が向かい合って話すたびに、何気ない一言から正体が漏れるのではないかと気になる。
DEATH NOTEの第一部では、答えよりも、その答えを誰がどこまで知っているかが緊張を生みます。月はノートの仕組みを知っている。Lは殺し方が分からないまま、月へ疑いを絞っていく。二人の知識が重なりそうになる瞬間が、何度もあるのです。
原作・大場つぐみ、作画・小畑健。ここではジャンプ・コミックス全12巻のうち、1〜7巻に収録された第一部を扱います。ヨツバ事件、ノートの記憶、Lの最期までのネタバレがあります。
テレビへの反応だけで、月は居場所を狭められる
名前と顔が分かれば、離れた場所からでも殺せる。デスノートを得た月は、自分の姿を見せずに犯罪者を裁く存在「キラ」になります。警察から見れば、捜査の足場さえ見えない事件でした。
Lはテレビで自分を名乗る人物にキラを挑発させます。月がその人物、リンド・L・テイラーの名を書くと、相手は死ぬ。ところが画面に出ていたのはLではなく死刑囚で、世界へ向けたと見せた放送も、実際には関東地区だけでした。
月は、自分を批判した相手をすぐに黙らせたくなった。その反応が、調べる側には情報になる。強い能力を持っているのに、それを使わずにはいられない性格が隙になるところが面白い。
ここで居場所を絞られたことで、誰にも触れられないはずのノートが、月の日常とつながります。学校へ行く時間、家族の仕事、捜査情報へ近づける環境。Lは超常の力を説明しきれなくても、その周りにある人間の行動から追跡できます。
南空ナオミとの会話では、名前を言わないでほしくなる
FBI捜査官レイ・ペンバーを殺した月の前に、彼の婚約者だった南空ナオミが現れます。元FBI捜査官の彼女は、キラが心臓麻痺以外の死も起こせるという手がかりをつかみ、捜査本部へ伝えようとしていました。
月は父親が捜査をしているという立場を使って近づきます。ナオミも警戒していて、最初は偽名を使う。ノートに書いても効果がないことを月が知り、そこから会話の目的がさらに絞られます。本名を聞き出せるかどうかです。
普通なら、身分を確かめてから捜査に協力するのは慎重な行動でしょう。ここでは月がその手続きを信用させ、彼女の逃げ道をなくしていく。言葉のやり取りだけで、距離が少しずつ詰まります。
やがて本名を知った月に操られ、ナオミは立ち去ります。死の場面を詳しく見せず、消息が途絶える形なのも重い。今ある情報がLに届けば展開は変わるはずなのに、届く直前で一人が消える。月の作戦が成功したことを、気持ちよく喜べない場面です。
近くに座っても、Lの名前は手に入らない
Lは大学で月へ接触するとき、芸能人と同じ「流河旱樹」という偽名を使います。顔を見せることがそのまま敗北にはならないよう、名前のほうに逃げ道を作っている。捜査本部で使う「竜崎」とも別です。
月は相手がLだと知っていても、簡単には殺せません。一方、Lも疑っているだけで逮捕を確定させられるわけではない。二人は互いを観察するために近くに置き、捜査にも協力します。
テニスや雑談の最中まで、相手が何を試しているのかを読んでいる。その過剰な警戒には可笑しさもありますが、親しく見える場面ほど安心できない。読者には、口に出す言葉と内側の計算の両方が見えているからです。
Lはずっと正しい人として月を追っているわけでもありません。監視や拘束など、相手を追い詰める手段は苛烈です。どちらが勝ってほしいかを考えながら、勝つために何をしているかにも目を向けさせられます。
ミサの目と、レムの心配が盤面を変える
第二のキラ・弥海砂は、寿命の半分を差し出す取引で「死神の目」を得ています。相手の顔を見るだけで名前を知ることができ、月が欲しくても自分では選ばなかった力を持つ。
月にとってはLを殺す手がかりになりますが、ミサは完全に制御できる協力者ではありません。キラへの信仰と月への好意から近づき、独断でも動く。さらに、彼女を守ろうとする死神レムがそばにいます。
ミサの能力だけを取り出して使うわけにはいかない。誰と誰がどう結びついているかまで考えなければ、計画は回りません。月はやがて、その厄介な感情のつながり自体を利用するようになります。
記憶を失った月は、自分の仕掛けた事件を追う
ミサが拘束されると、月は自分も監禁されるよう申し出ます。その後、計画に沿って所有権を放棄し、デスノートに関する記憶を失います。
記憶を消すのは拘束前ではなく、拘束された後です。別の人物がノートを使って殺人を続けることで、監禁中もキラの活動が止まらない状況を作る。ノートはレムからヨツバの火口卿介へ渡り、企業の利益のために使われます。
記憶のない月は、本気でキラを捕まえようとします。Lと協力する姿を見ると、この組み合わせで別の事件を解く可能性もあったのかと考えてしまう。ただ、記憶が消えたから過去の罪がなくなったわけではありません。読者だけが、その共同作業の先にある罠を知っています。
火口が捕まり、ノートに触れた月は記憶を取り戻します。さらに腕時計に隠した切れ端で火口を殺し、所有権を取り戻す。捜査の成功が、元のキラを戻す手順として完成してしまうのです。
Lを殺す最後の一手は、13日ルールの検証から生まれる
回収されたノートには、名前を書いた者は13日以内に次を書かなければ死ぬ、という偽のルールが加えられています。長く拘束されても生きている月とミサには、嫌疑を晴らす材料になります。
Lはそこを疑い、検証しようとします。もし嘘だと分かれば、ミサの危険は再び大きくなる。月はその状況を作ることで、彼女を守りたいレムを追い込みます。
レムはワタリとLの名前を書き、ミサの寿命を延ばしたために消滅します。月がLの本名を自力で解き明かして書いた、という決着ではありませんでした。捜査が正しく進むほど、レムが介入する必要が生まれるよう仕組んでいたのです。
倒れたLを受け止める月の表情には、もう捜査仲間に見せる顔だけでは隠せない勝利が浮かびます。そして月は二代目Lの位置へ入っていく。
第一部の怖さは、Lがまったく見当違いだったから敗れたのではないところです。疑いは正しかった。核心へも近づいていた。それでも、知らないルールと他者の感情が働く世界で、正しく推理するだけでは生き残れなかった。その差を最後まで詰めようとする攻防が、1〜7巻を読み返す面白さになっています。
本ページはプロモーションを含みます。
この編を読むなら
電子書籍ストアやAmazonで、巻別購入・まとめ買いをチェック
DEATH NOTE 1巻
DEATH NOTE 2巻
DEATH NOTE 3巻
DEATH NOTE 4巻
DEATH NOTE 5巻
DEATH NOTE 6巻
DEATH NOTE 7巻
※ 上記リンクから購入すると、サイト運営の支援になります。価格は各ストアにてご確認ください。
