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ハイキュー!!

ハイキュー!!インターハイ予選のネタバレ考察|鉄壁を破った烏野が青城に敗れるまで

原作の対象巻を読む

ハイキュー!! 5巻

対象: 5〜8巻

伊達工業のブロックを破り、以前の敗戦を越えた烏野は、次の青葉城西戦で敗れます。東峰旭が再び打てるようになり、日向翔陽の囮も働く。それだけの成長があっても、全国へは進めません。

『ハイキュー!!』のインターハイ予選は、苦手を克服したチームが、その武器を別の相手に読まれるまでの話です。一度うまくいった連係を、試合の途中でどこまで変えられるか。伊達工業戦と青城戦を続けて読むと、同じ速攻の意味が変わっていきます。

ここではジャンプコミックス通常版5〜8巻を対象に、予選敗退とその後の決意までネタバレありで扱います。東京遠征や春高予選はこの大会より後の出来事です。青城戦の決着と敗戦後の章は、集英社の8巻目次でも確認できます。

初めて勝った日向の向こう側に、常波がいる

初戦の相手は常波高校です。澤村大地の中学時代の仲間、池尻隼人もこのチームにいます。烏野はストレートで勝ち、日向は初めて公式戦の勝利を経験します。

日向にとっては待ち続けた一勝ですが、常波にとっては大会の終わりです。予選には、全国で勝つ見込みが高いチームだけが来るわけではありません。自分たちの練習が十分だったか、もっとできたのではないか。その思いを抱えたまま、試合を終える選手もいます。

烏野の強さを確認するだけなら、常波戦は短い通過点になります。けれども、相手の名前と学校へ戻る時間まで描かれることで、勝利には必ず終わらせた側の時間があるとわかります。のちに烏野が敗れたとき、日向たちだけが特別に理不尽な扱いを受けたのではないことも、ここで準備されています。

伊達工業の前で、旭が一人で雪辱する必要はない

2回戦の伊達工業は、旭が部活を離れるきっかけになった相手です。青根高伸を中心とするブロックは、打ち手の前へ揃って壁をつくる。旭には、止められたときの記憶が戻ってきます。

ここで烏野が出す答えは、旭に以前より力いっぱい打たせることだけではありません。日向と影山飛雄の速攻で、相手の目と足を動かします。日向が危険な打ち手であるほど、伊達工業は旭だけを見ていられなくなる。囮は日向を隠す役ではなく、旭の前に空間をつくる役です。

その空間ができても、最後に打つのは旭です。自信がないからという理由で、そこを別の選手に譲っては試合を取りきれません。仲間が用意した状況の中で、自分の仕事を引き受ける。旭の復活は、その順序で描かれます。

西谷夕のレシーブにも注目したいところです。ブロックに当たったボールを拾えば、相手の鉄壁でラリーは終わりません。一度止めた伊達工業が、もう一度跳ばなければならなくなる。守備の粘りが旭の次の一本を生み、烏野はストレートで勝利します。エースの雪辱を、コート全体で成立させた試合です。

菅原への交代が、影山を孤立させない

3回戦の青城では、及川徹が正セッターとして試合を組み立てます。最初の練習試合のように、終盤だけを相手にすればよいわけではありません。サーブで守備を崩し、誰をどう使うかを変えながら、烏野に判断を迫ります。

影山は及川を意識して焦り、チームとの呼吸を乱します。そこで交代して入るのが菅原です。影山ほど速いトスを上げられないから、同じ攻撃を小さく再現するのではない。声をかけ、打ち手の様子を見て、選手が動きやすい形をつくります。

菅原自身にも試合へ出たい気持ちがあります。3年生だから一年生を支えるだけでよい、という人ではありません。それでも、コートで得た情報を影山へ渡す。自分が出た時間を、自分だけのものにしないのです。

影山にとって交代は、中学のように仲間から見限られる出来事にはなりません。ベンチから試合を見て、戻ってくる場所がある。烏野には、セッターが変わってもつながる選手がいる。この経験が、及川との実力差とは別のところで、影山の過去を変えていきます。

最後の速攻は、青城に読まれていた

試合はフルセットへもつれます。烏野は山口忠をピンチサーバーとして投入しますが、練習してきたサーブは本番で成功しません。初めて託された一本で結果が出ない。その失敗も、試合の熱気に流されず本人の中へ残ります。

最後の局面で、影山は日向への速攻を選びます。勝ちたいときに、自分たちが最も信じている攻撃を使う。その判断にはここまでの二人の積み重ねがありますが、青城もその積み重ねを観察していました。

ブロックが速攻を止め、烏野はセットカウント1対2で敗れます。変人速攻が遅かった、日向が跳べなかったという失敗ではありません。どこへ上げるかを絞られ、相手が間に合う条件を与えてしまった。得意な攻撃を持つことと、相手に選択を読ませないことは別なのです。

及川が相手なのは、この敗戦を影山の技術不足だけにしないためにも効いています。烏野の攻撃を止めたのは、及川一人の手ではない。岩泉一をはじめとする青城の選手が、試合の中で同じ狙いを共有しています。最後までチームとしての判断が届いた側が、勝ったのです。

ご飯を食べる時間に、敗北が追いついてくる

試合が終わっても、すぐ気持ちを整理できるわけではありません。食事をしながら泣く烏野の姿には、身体を動かし続けた一日が終わり、勝てなかった事実がようやく追いついてきたような重さがあります。食べれば元気になる、という明るい結論ではなく、それでも明日の身体をつくらなければならない時間です。

3年生たちは進路の問題を抱えながら、春高を目指して残ることを選びます。日向たちにもまだ大会がある。しかし、残れるのは当然ではなく、先輩たちが考えた末の決断です。

この予選で得た勝ち方は捨てる必要がありません。旭を生かした囮も、菅原が整えた呼吸も、敗戦で消えません。そこへ別の選択肢を加える必要がある。8巻の終わりに残るのは、一度の敗北で強くなったという安心ではなく、次に何を練習するのかという具体的な宿題です。

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