本ページはプロモーションを含みます。
『ちはやふる』の最後、千早は若宮詩暢を破ってクイーンになり、新は周防久志を破って名人になります。そして千早が恋の相手として思いを伝えるのは、太一です。競技で並んで頂点に立つ二人と、恋愛で結ばれる二人は同じ組み合わせではありません。
この結末があるから、新と太一のどちらが千早にふさわしいかを、かるたの勝敗で決める物語として読むことはできません。三人の競技への思いには、それぞれの決着が必要で、千早の恋には本人の言葉が必要です。
ここではBE・LOVE KC通常版36〜50巻にあたる予選終盤、挑戦者決定戦、名人・クイーン戦から卒業までを扱います。五番勝負の最終盤と、その後を収めるのは通常版50巻。最終回の勝敗と交際の結末まで含む考察です。
新と太一の対決は、恋の代理戦争では終わらない
東日本代表となった太一と、西日本代表の新が、名人への挑戦権を争います。太一は周防との練習を通じ、相手の取りを見て揺さぶるかるたを身につけてきました。新は、かつて自分についてこられなかった幼なじみを相手に、簡単には勝たせてもらえません。
三番勝負は1勝1敗から第3試合へ進み、新が挑戦権を得ます。太一は名人戦の畳に座れません。長く努力してきた人物が、努力の量に見合う賞を必ず受け取るわけではない。その厳しさは、千早への思いがどれほど深いかとは無関係に残ります。(40巻の出版社提供紹介)
それでも、新の前で太一が示した強さは消えません。太一の不在を寂しがる千早のためだけに、二人が対戦しているわけでもない。太一自身が、この新から札を取りたいのです。勝てなかったことを認めたうえで、また挑む気持ちが続くところに、競技者としての太一がいます。
詩暢は、千早に倒されるのを待つ人ではない
千早を迎え撃つ詩暢にとって、かるたは幼い頃から自分を支えてきた世界です。札一枚一枚に特別な存在を感じ、誰より近くに置いてきた。その結びつきを、仲間の多い千早が孤独な詩暢を救う、という説明だけで片づけると、詩暢が自分で築いたものが見えなくなります。
二人は五番勝負に臨み、千早は2連敗します。ここで従来の三番勝負なら決着していますが、まだ次の試合がある。千早は同じ相手に続けて負けた疲れと怖さを抱えて、もう一度札を並べなければなりません。
挑戦者の立場は、新しいことを試す自由もある一方、同じ方法で届かなかった事実を引き受ける立場でもあります。仲間の応援は励みになりますが、手を出す瞬間に代わってもらうことはできません。千早は自分の聞き方、姿勢、取り方へ戻って、詩暢との距離を詰めていきます。
第3、第4試合を取り返し、千早は最終戦へ持ち込みます。詩暢の技術が急に失われたのではなく、同じ相手と長く取り続ける中で、千早にも見えるものが増える。そのため、2勝2敗になったときにも、挑戦者が勝つ流れが完成したという安心はありません。
周防が守る一枚には、周防の生活がある
同時に行われる名人戦で、新は周防と向き合います。周防は視野に問題を抱えながら、卓越した感じと相手を惑わせる取りで頂点に立ってきました。新が憧れた祖父・綿谷始とは異なる名人の姿です。
周防のかるたは、まっすぐ札を取りに行くだけではありません。相手の反応を利用し、取らせると思わせてミスを誘う。そのやり方に新が向き合うには、祖父から受け継いだ型を再現するだけでは足りません。今、目の前にいる周防を見なければならない。
また、周防には家族との関係があり、かるたを続けてきた自分の時間があります。新に席を譲るためだけの王者ではありません。名人を破るという目標の向こうに、その席を守ろうとする一人の人が現れる。最終章では、勝つ側の夢と同じ重さで、負けた側の続きも気になります。
運命戦の結末を、運だけに渡さない
名人戦もクイーン戦も第5試合の運命戦へ進み、千早と新が勝利します。二人とも3勝2敗で、それぞれの頂点へ届きます。子どもの頃に約束した夢が、同じ日に現実になる結末です。
残り一枚ずつになると、どの札が読まれるかは選手には選べません。それでも、それ以前にどの札を取るか、相手へ何を送るか、どこで手を止めるかを何度も選んでいます。最後の一首だけを偶然として抜き出すと、そこまで運んだ試合が見えなくなります。
千早も新も、最初からすべてが思いどおりだったわけではありません。千早には途中棄権した全国大会があり、新にはかるたをできなかった時間がある。遠回りを無駄として消すのではなく、そのとき出会った人の取りや支えを持ったまま、最後の札に向かっています。
詩暢と周防は負けます。だからといって、二人が積んできた時間が誤りになることもない。勝った二人の喜びと、敗者が家族の前で見せる気持ちを続けて読むと、この日の結果が競技人生のすべてではないと感じられます。
千早から告白しなければ、伝わらないことがある
卒業の日、千早は太一に自分の恋心を伝え、二人は付き合うことになります。この結末は、名人になった新の価値を下げるものでも、太一の敗戦を埋め合わせる賞でもありません。(最終回の展開の照合)
太一は以前、自分から千早に告白し、断られています。千早が部に戻ってほしいと願っても、太一には隣にいることが苦しかった。千早自身も、太一がいなくなって初めて、それまで当然だと思っていた時間の大きさに気づきます。
だから最後には、千早が待っているだけではいけません。好きな相手が同じ場所に居続けてくれるとは限らず、かるたを続ける約束だけで恋の気持ちまで伝わるわけでもない。千早が自分の言葉で近づくことが、夢の達成とは別の一歩になります。
新は交際を知って悔しがりますが、三人がかるたで会う関係は続きます。物語は全日本選手権へつながり、もう勝負をしなくてよくなった人として三人を終わらせません。
小学生の千早は、人から教わって自分の夢を持ちました。最終章の千早は、その夢をかなえたうえで、誰に何を伝えるかを自分で選びます。札を取る手と、太一へ伸ばす手。その二つを同じ答えにまとめないところに、50巻まで読み進める意味があります。
本ページはプロモーションを含みます。
この編を読むなら
電子書籍ストアやAmazonで、巻別購入・まとめ買いをチェック
ちはやふる 36巻
ちはやふる 37巻
ちはやふる 38巻
ちはやふる 39巻
ちはやふる 40巻
ちはやふる 41巻
ちはやふる 42巻
ちはやふる 43巻
ちはやふる 44巻
ちはやふる 45巻
ちはやふる 46巻
ちはやふる 47巻
ちはやふる 48巻
ちはやふる 49巻
ちはやふる 50巻
全巻まとめ買い
ちはやふる 全巻まとめ買い
作品全体をそろえたい方はこちら。収録巻と版を各ストアでご確認ください。
※ 上記リンクから購入すると、サイト運営の支援になります。価格は各ストアにてご確認ください。
