本ページはプロモーションを含みます。
20世紀少年の感想|懐かしい秘密基地が、世界を脅かす計画になる

昔、自分たちだけで決めたマークが、知らない集団の中で使われている。20世紀少年の始まりには、そんな気味の悪さがあります。
ケンヂたちにとって、秘密基地や「よげんの書」は忘れかけた子どもの遊びでした。ところが、誰かがそれを覚えていて、大人の資金と技術で実行している。懐かしいはずの記憶が、次の事件を知るための手がかりに変わります。
浦沢直樹の『20世紀少年』は、完結編『21世紀少年』まで読むと一つの物語になります。以下、その結末と完全版で補足された内容にも触れます。
先に揃えたいのは、完結編までの巻数
同じ「完全版」でも紙と電子では巻数が違います。揃えるときは、この組み合わせを確認すると迷いません。
| 版 | 20世紀少年 | 完結編・21世紀少年 |
|---|---|---|
| 通常の単行本 | 全22巻 | 上・下巻 |
| 紙の完全版 | 全11巻 | 全1巻 |
| 完全版デジタルVer. | 全22巻 | 上・下巻 |
電子版は、加筆修正された完全版を22巻と上下巻へ再編集したものです。小学館の版の説明でも確認できます。『20世紀少年』22巻で揃え終わりと思うと、最後の「宿題」が残ります。
ケンヂには、世界の前に店と家族がある
1997年のケンヂは、母とコンビニを営み、失踪した姉キリコの娘・カンナを育てています。ロックで成功する夢からは離れ、店の仕事と子どもの世話で日々を過ごしている。
キリコの行方が分からないまま、ケンヂはカンナの親代わりを務めています。世界の大事件を知る前から、身近な人の不在が生活の中にあるのです。
得意先の一家の失踪、旧友ドンキーの死。その周囲に現れるマークを見て、ケンヂは昔の仲間へ話を聞き始めます。全員が同じことを覚えているわけではなく、再会した大人たちにも今の暮らしがある。すぐに冒険へ出られる仲良し集団ではないところに、序盤の手触りがあります。
店を守るだけでも大変な人が、世界の危機を説明しなければならなくなる。その隔たりが大きいので、ケンヂが動くまでの戸惑いも納得できます。
よげんの書は、当たるのではなく実行される
少年たちが描いたのは、悪の組織や巨大ロボットを登場させ、自分たちが地球を救う物語です。それが現実の事件と結びついたとき、ただ未来を言い当てた本だった、と驚いて終わるわけにはいきません。
誰かが筋書きを知り、それに合わせて事件を起こしている。そこで「ともだち」という人物が、何が起きるかを知る救世主の位置へ入ります。危機を作る側が、救う側としても語られる仕組みです。
子どもの遊びでは、悪役が何をするかも、ヒーローがどう勝つかも、同じ仲間で決められる。それを社会の中へ持ち出すと、筋書きを知らない人々が巻き込まれます。ケンヂたちが過去を思い出そうとするのは、懐かしむためだけではなく、次の被害を止めるためです。
血の大みそかの後で、英雄と悪役が逆転する
2000年12月31日、ケンヂと仲間たちは巨大ロボットによる惨劇を止めようとします。しかし爆発の後、ケンヂは行方不明になり、事件の犯人として語られるようになります。
一方、ともだちは世界を救った人物として権威を得る。読者が見ていた戦いと、その後の社会が教えられる歴史が食い違います。
これが中盤の怖さです。悪者だと分かる人物が支配している、というだけではなく、どちらが悪者かを決める説明まで支配されている。カンナにとって、大好きな叔父の話が教科書の中で違うものになっていることは、暮らしの土台を奪われることでもあります。
抵抗する仲間たちは、敵と戦いながら、自分たちが何をしたのかを覚えておかなければならない。忘れられた幼少期を掘り返す話が、今度は忘れさせられる歴史へ抗う話になります。
カンナは、叔父を待っているだけではない
成長したカンナは、異なる人々を引きつけ、協力者を増やします。しかし仲間を失う中で怒りも深まり、武装して攻撃へ向かおうとする。ケンヂの意志をそのまま受け継げば、いつでも正しい道に立てるわけではありません。
彼女を止めようとするオッチョや、地下で人を助け続けるヨシツネたちとのずれが、抵抗運動を一枚岩にしません。失ったものも、守りたい相手も違うからです。
終盤、カンナたちは人々を安全な会場へ集めるために音楽フェスを開きます。歌の力だけで兵器を消す話ではなく、人を呼び、移動してもらい、命を守るための場を作る。大勢が集まることには、ともだちの集会とは別の使い道もあるのです。
ケンヂの帰還と、ともだちの正体
ケンヂは生きていました。記憶を失って放浪していた彼が再び東京へ向かい、仲間やカンナと会う道筋には、もう戻らないと思っていた人が近づいてくる期待があります。
ただ、主人公が帰れば昔の仲間全員が元通り、とはいきません。長い年月が過ぎ、死者も出ている。再会の喜びと、埋められない時間が一緒にあります。
ともだちの正体を最後まで追うと、忘れられていた同級生カツマタへ行き着きます。完全版では、フクベエ本人が小学校卒業後の春休みに亡くなっていたことも示されます。大人のフクベエとして受け入れていた人物まで、改めて考え直す必要がある。完全版の追加エンディングを含む部分は、完結編の記事で詳しく扱っています。
一人の名が分かっても、組織に関わった全員の行動がその人だけのせいになるわけではありません。協力して利益を得る者、怖くて従う者、信じたい者がいて、支配は大きくなっていました。
世界を救った後にも、謝る相手がいる
完結編では、残された反陽子爆弾の危機を止めるため、ケンヂが再現された過去へ入ります。そこで、自分が駄菓子屋で盗んだバッヂのせいで、カツマタに疑いがかかった出来事へ向き合うことになります。
仲間に入れなかった子がいた、という漠然とした後悔だけではありません。誰が何をして、その結果誰が傷ついたのかを思い出す話です。
ケンヂが謝ることと、ともだちの大量殺戮が許されることは別です。それでも、自分がしたことまで世界の大事件の陰へ隠すわけにはいかない。最後に物語がこの小さな出来事へ戻るので、序盤の秘密基地も、無条件に楽しかった場所としては読み直せなくなります。
大きな謎の先に、覚えていたつもりの過去がある。20世紀少年は、続きを追う面白さと、最初の場面を見返したくなる居心地の悪さが、長く並んで残る作品です。
本ページはプロモーションを含みます。
この編を読むなら
電子書籍ストアやAmazonで、巻別購入・まとめ買いをチェック
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 1巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 2巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 3巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 4巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 5巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 6巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 7巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 8巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 9巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 10巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 11巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 12巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 13巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 14巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 15巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 16巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 17巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 18巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 19巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 20巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 21巻
20世紀少年 完全版 デジタルVer. 22巻
全巻まとめ買い
20世紀少年 全巻まとめ買い
作品全体をそろえたい方はこちら。収録巻と版を各ストアでご確認ください。
※ 上記リンクから購入すると、サイト運営の支援になります。価格は各ストアにてご確認ください。